エソラことだま。 -臆病風のブログ-

どうせMr.childrenを書いてしまうんだ

『Atomic Heart』後編 ~90年代「ミスチル現象」とは何だったのか?~その④

自宅の押し入れの奥の奥から、古い雑誌を引っ張り出してきた。
月刊カドカワ』1994年10月号。
表紙・特集Mr.Children -はりさけそうなメロディ-

 

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非常に濃い内容で、桜井さんのインタビュー、エッセイにアルバム全曲解説からJen・ナカケー・健ちゃんの鼎談まである。
なんと全50ページ、現在では到底ありえない贅沢さ。まさに”総力特集”である。
この時、Mr.Childrenと『Atomic Heart』は間違いなく日本音楽界のてっぺんに立っていた。


『Atomic Heart』といえば、なんといってもラストの曲『Over』が印象的だ。


「『Over』にヤられちゃった男が全国で急増中。」
TVでそんなニュースが流れてきそうなほど、僕の周りの野郎どもはこの曲に嵌っていた。

大学生なんてコンパとフラれるのが仕事みたいなもんさ。
そんな風に強がっていた僕たちモテない男一同「この歌詞、わかる~!」ってlawer the溜飲。
以降、僕らは『Over』をカラオケで歌いまくり、顔の割に胸の小さな女性を探しまくり、フラれたときは「君、風邪なんだね。そうだね、伝染するといけないよね」と無理やり納得しまくっていた。愚かな僕らは『Over』を聴くことで、悲しみのトンネルを潜り抜ける術を知った。
『Over』は、世のモテない男たちの心を救ったのだ。

でも、この曲の歌詞で僕が一番印象に残っているのは意外にもCメロ。
≪夕焼けに舞う雲 あんな風になれたらいいな いつも考えすぎて失敗してきたから≫
この部分だ。

終始具体的な失恋エピソードが歌われるる中で、ココだけ抽象的な表現なのがすごく印象的で好きだった。
思えば、あの頃の僕も、フラれた理由ばかり考えて余計に落ち込んだりしてたっけな。
僕は『Over』を聴いてから、何も考えずに空を眺めていれば、ほんの少し元気になれるって知ったような気がする。

いまではどの失恋もいい思い出となっている。