Your Song ~Mr.Children『重力と呼吸』全曲レビュー①~
2018年10月3日にリリースされた
Mr.Childrenニューアルバム『重力と呼吸』。
前作『REFLECTION』から3年4ヶ月、彼らが叫びたかったのは何なのか?
全曲の歌詞を1ファンのシロート目線で読み解き考えるエントリー。
まずは1stトラック『Your Song』から検証スタート!
花吹雪が舞うような
きらめく夏の日差しのような
時は過ぎ
華やいでた想い出も
少しだけ落ち着きを取り戻した
10月リリースだけあって、秋を感じさせるセンテンスから曲が始まる。
花吹雪が舞う春、華やかい色づいた夏を経て、季節はしっとりとした秋へ。
ここは意訳すると「キラキラした時期を過ぎて今は穏やかな気持ちで過ごしている」という風に取れる。
男女でいうと、付き合いはじめとか新婚生活のキラキラした感じが一旦落ち着いた頃、そんなイメージかな。
君と僕が重ねてきた
歩んできた たくさんの日々は
今となれば
この命よりも
失い難い宝物
二人は出逢ってから今日まで、多くの想い出を共有して生きている。その記憶は何よりも大切な宝物だ。
僕も妻と昔付き合っていたころの想い出、例えば旅行のエピソードや一緒に食べたものついて何気なく話す時間はとても楽しい。僕はそんな時はいつも「想い出の積み重ねが僕らを生かしてくれているんだなぁ」としみじみ感じてしまうのだ。例えそれが、ありきたりでなんてこと無いことであったとしても。
ふとした瞬間に同じことを考えてたりして
また時には同じ歌を口ずさんだりして
そんな偶然が今日の僕には何よりも大きな意味を持ってる
そう君じゃなきゃ
君じゃなきゃ
”小さな奇跡の喜び”を歌うサビ。
僕みたいな単純な奴は特にそうだけど、お笑い番組を観ていて笑うところが同じとか、あくびが伝染するとか、人は小さなことで簡単に「この人は運命の人かも」と勘違いしてしまうものだ(僕だけかもしれないけど)。
日常の何気ないことに運命すら感じさせてしまう君の存在の大きさ。そんな君との時間はすべてが宝物なのだろう。
苦手意識を持ってた
食べ物もスポーツも堅苦しい場所も
君が薦めるんなら無理なんかせず受け入れることが出来たんだ
「歩んできたたくさんの日々」が語られる2番のAメロ。
嫌いな食べ物を彼女に言われて食べてみたら意外にイケた。
何年も続けているスポーツ、はじめたキッカケは彼女の「やってみたら」の一言だった。
ひとりでは決して行かなかった美術館だが、彼女と行って以来ハマった。
誰しもこれに近い経験を持っていると思う。
時に僕が窮屈そうに囚われている考えごとに
なんてことのない一言で この心を自由にしてしまう
僕の悩みなんてほとんどが他愛のないことなんだろう。君はなぜか僕の背中を押してくれる。それも君が起こす奇跡なのだろう。
飛び込んでくる嫌なニュースに心痛めて
また時にはちっちゃな事で笑い転げて
一緒に生きていく日々のエピソードが特別に大きな意味を持ってる
そう君じゃなきゃ
君じゃなきゃ
2番の歌詞ではサビも含め、君と僕のエピソードがいくつか綴られていたが、どれもが日常の何気ないワンシーンなのが印象的だ。
僕を喜ばせ、楽にしてくれる君の何気ない小さな奇跡が僕の人生は大きな意味を持っている。
この曲を通してMr.Childrenが伝えたいことはこれだと思う。
ふとした瞬間に同じことを考えてたりして
また時には同じ歌を口ずさんだりして
そんな偶然が今日の僕には何よりも大きな意味を持ってる
そう君じゃなきゃ
君じゃなきゃ
そう君じゃなきゃ
君じゃなきゃ
大サビの歌詞は1番と同じ。
繰り返しになるが、本当に大切なことは君が何気なく起こしてくれる小さな奇跡。こういうところに目が向けられると、パートナーに対する思いも変わってくるだろう。
一緒にいればいつもいいことばっかあるわけじゃない。喧嘩もするし、誰よりも憎くなる時もあるかもしれない。でも、2人で積み重ねてきたものは決して消えはしない。それらは例え他愛もないありきたりなものだったとしても、2人にとっては命より大事な宝物なのだ。
そんな風に思えたら、ちょっぴり優しい気持ちになれるでしょ。
以上が『Your Song』の歌詞解読である。
記念すべきニューアルバム1曲目は、聴きながら優しい気持ちになれる、登場人物の「君と僕」のことを素直に応援したくなる、そんな曲だ。
アルバム歌詞解説、この先の検証が楽しみで仕方ない。
〈エソラことば〉
タイトルの『Your Song』の意味は、
「君のことを歌った歌を、君への感謝を込め、君に贈る」
んな感じかな…