エソラことだま。 -臆病風のブログ-

どうせMr.childrenを書いてしまうんだ

Mr.children25周年感謝祭「Thanksgiving25」とは何だったのか?①【セトリ全曲レビュー前編】

 

 

f:id:mrchildren-esorakotodama:20170915104949j:plain

はじめまして、臆病風@Dmと申します。

 

 2017年9月9日、熊本。
 秋の訪れを感じさせる心地よい風を受けながら、ミスチルで埋め尽くされた僕の夏も終わった。

 Mr.Childrenメジャーデビュー25周年を記念して「Thanksgiving=感謝祭」と銘打たれ、9会場15公演行われた今回のドーム&スタジアムツアー。吉野家の感謝祭は3杯目が100円になるという若干セコく感じるものだったが、ミスチルの感謝祭はセコくない。
そしてなんとツアーのファイナルの舞台は火の国・熊本「えがお健康スタジアム」。ミスチルとしては2011年以来6年ぶりの舞台で(ネーミングライツの関係で前回公演時は名前が違ったが)、僕の住む街である。
しかもDVDの収録(しかもはじめてHPで収録の事前告知がなされた)も行われるなんて、これは1年半前の熊本地震で被災した僕らへのミスチルからのプレゼントか?

熊本公演の意味はいったい何か?そして「Thanksgiving25ツアー」とは何だったのか?

まずは当日のセットリストを振り返り、ライブの興奮を蘇生する。(前編)

 

 

f:id:mrchildren-esorakotodama:20170915105123j:plain

1.CENTER OF UNIVERSE
「ここが宇宙の中心だ」というエゴ丸出しのメッセージからライブはスタート。イヤなことも、悩みも、残してきた大量の仕事も、今だけは全部忘れて、ただただライブを楽しもう。センユニはライブで頻繁に演奏されるけど、いつもこんな気持ちにさせてくれる曲だ。
まだまだ外は明るく、周りがよく見える。僕の5列ほど前の男性は指を骨折しているのだろう、包帯でグルグル巻きにしていた指をかばうように優しく手拍子していた。でもノリノリ。なんとも痛々しくて微笑ましい光景だった。

 

2.シーソーゲーム~勇敢な恋の歌~
ミスチル最高のアゲアゲシングル。オリジナルMVをバックで流しながら演奏という超贅沢仕様だった。この曲が発売された頃、僕は大学生だったな…コステロ桜井に憧れて似たカッコしたっけな。そんな黒歴史を思い出しながら曲は進む。
曲のクライマックス、大サビの「恋なんて~」に併せて轟音と共に客席に大量の紙テープが吹き上がり、会場のボルテージは一気に最高潮へ。そのとき僕の身にアクシデントが起こった。紙テープをゲットしようと跳びあがった。がバランスを崩して豪快に転倒、周囲のパイプ椅子を数台なぎ倒してしまった。頼むからこのことは誰にも言わないでくれ。

 

3.名もなき詩
たたみかけるように3曲目に早くも登場。「だからダーリ~ン」から始まるオリジナルアレンジに、会場全体から大きな拍手と歓声が上がる。
葛藤だらけの世の中に生きる男が愛する人に捧げる、あえて「名もなき」と題されたこの詩。リリースされたのは96年2月、僕はやはり大学生だった。その頃の僕はおそらく人生最大の金欠状態で、月末は晩飯がもやし炒めだけというひもじい日々。そんな有様にもかかわらず、数日の晩飯代を削って買ったのが『名もなき詩』のCDだ。CDを手に入れる喜び、おそらく現代の若者には決して味わえない感覚だろう。
名もなき詩』といえばサビでオーディエンスは手を挙げて曲にノるのだが、僕は手を挙げるのがいつも人よりワンテンポ早くなってしまい、周りの席の方々の視界を遮ってしまう。誰か僕に完璧なタイミングを教えてくれないか。

 

4.GIFT

ガッチリと心を掴まれた3曲の次は「いま一番贈りたい曲を贈ります」というMCからのGIFT。この曲を聴きながら何度も何度も思ったことだが、“白と黒の間に無限の色がある”って本当にスゴイ表現力だ。無限の色なんて僕には全く見えないけど、歌詞を読む「なるほど」と唸らされる。「歌詞とはこうあるべきだ」の代表のような表現である。
大サビの時、客席を映したスクリーンには青いリボンがかかっていた。「この曲を聴いてくれている客席のみんなこそが、僕らにとって最高のGIFTだ」という桜井さんの声が聞こえてきそうな演出だ。
僕のほうこそありがとう。そんな気持ちにさせてくれてありがとう。

 

5.Sign
久々の生signは『GIFT』からの流れというこれまた感謝祭ならではの贅沢なメドレーだ。タッグマッチでG馬場がタッチの手を差し伸べた先がアントニオ猪木みたいな豪華さである。
ライブはまだ始まったばかり。残された時間は僕らにはまだまだある。ここから送られるミスチルからのサインを何ひとつ見落とさずまい。僕はそんなことを考えている。


6.ヒカリノアトリエ
ここからメンバーが花道最前部に出てきての演奏。JENによる卑猥なメンバー紹介とインタビューで和んだとあとはホールツアーメンバーによる『ヒカリノアトリエ』。
ただここのMC、ドーム公演ではもっと長かった。特にこの曲は熊本地震をきっかけにできた曲だと紹介していたのに、この日その部分を控えたのはなぜだろう。僕は不思議に思った。
このライブはあくまで「感謝祭」、ミスチルからリスナーに「ありがとう」を伝えるためのお祭りである。その場で被災地に向けてのメッセージを発するのは違うのではと捉え、あえて表現を控えたのかもしれない。

 

7.君がいた夏
今回僕が最も聴きたかった曲。友人に「この曲が聴けたら僕泣いちゃう」と事前に話していたが、本当に泣いてしまった。まさか、地元熊本で、何万回も聴いたデビュー曲(正確にはファーストシングル、ミスチルはアルバムデビューだから)が聴けて、大サビを一緒に歌えるなんて夢みたいだ。
「涼しくなったけど、さっきまで確かにここに夏があった」というMCが笑いを誘う。確かにこの曲あたりから風が出て涼しさを感じ始めた。でもそんな気候にピッタリな、夏の終わりの恋の歌が胸に響いた。

 

8.innocent world
サビ「いつの日もこの~胸に」のソロから始まる映画「es」仕様。
この「いつの日もこの胸に流れてるメロディ」というフレーズは「心臓の鼓動」のメタファーであるという説があって、それはそれでなるほどそうかも知れないなと思う。だけど僕にとってはミスチルの歌こそがいつも胸に流れるメロディーだな。そんなことを考えながら聴いていた。
そして大サビで2度目の紙テープ噴射!僕は「今度こそ獲る!」と意気込んだが、つい数十分前に転倒という醜態をさらしてしまっただけに、まるで4つファールをもらったため退場を恐れてリバウンドが取れなくなった桜木花道のように縮こまってしまい、リベンジはならす。

 

9.Tomorrow never knows
ライブでこの曲のイントロが流れるだけで周囲が「おおぉ~」とどよめくのが快感だ。
スクリーンでは壮大な渓谷や海岸戦を猛スピードで飛び立つ映像が流れ、曲のイメージを増幅してくれる。そういえばこの曲のMVも同じような映像だったな。
ヤフオクDでは『CROSS ROAD』からイノワー→トゥモネヴァという、彼らがモンスターバンドへと羽化していく過程をそのままセトリで披露してきた。3曲合わせてCD売上がなんと約600万枚。僕は「6ミリオンメドレーや!」と一人で興奮して叫んでいた。ちなみに600万といえば西アフリカのシエラレオネ共和国の人口とほぼ同じ。つまりシエラレオネ人全員がこの3枚のCDどれかを持っている計算となる。

 

10.Simple
「ちょっと回りくどいことを言うけど『作詞作曲桜井和寿』という人格があるとして、その人がこの25周年に奏でてほしいと選ぶならこの曲」という桜井さんのMCから始まった『simple』の弾き語り。いつもそばにいる人に向けて感謝の想いを伝える曲をファンに向けて贈るなんて、Mr.childrenはファンとの距離をそんなにも近く感じてくれているんだな、とありがたく思った。
桜井さんもオーディエンスもみんな座り、やわらかい秋風に沿うように小さく身体を揺らしながら、まさにsimpleな気持ちで曲に聴き入っていた。

 

11.思春期の夏~君との恋が今も牧場に~
 このライブで、というより一度でいいから生で聴きたいとずっと願っていた曲。恋する人をただ眺めることしかできない情けない主人公は思春期の頃の僕自身。「君の髪が~」のフレーズはこの世で一番素敵な景色だと、大人になった今でも共感できる。
 ヤフオクドームでは演出なのか照れからか、JENの歌声がかなりふざけたテイストで、『思春期の夏』ファンの僕個人的には「もう少し普通に歌ってほしかったな」とちょっと残念に思ったのだ。でも熊本ではその願いが届いたのか(んなワケないけど)、かなり普通に歌ってくれて嬉しかった。

 

12.365日
 JENのパフォーマンスで乱れた(?)空気を一気に整える美しいイントロ。以前の定番演出だった「○○○は▲万人」のような資料映像は無し。JENの後だけにあっさりしていてよかったかな。
 久しぶりにライブで聴いたが、歌詞もメロディも優しすぎて思わず微笑んでしまう。
 ちなみにこの曲には僕と妻との奇遇なエピソードがある。
 僕と妻が付き合い始めたのは2010年8月28日。それから365日目の2011年8月27日、熊本で初めてのMr.Childrenライブ「SENSE in the field」熊本講演が開催された。付き合って365日目の僕たちの前(と言ってもかなり遠かったけど)で『365日』を歌う桜井さんを見ながら、僕は「これぞ奇跡だ」と涙したのは言うまでもない。

 

13.HANABI
 この曲もイントロが流れるだけで会場がどよめく。さすが最近(といっても10年近く前だけど)の人気曲。
『HANABI』はせつない。叶わない恋を叫ぶ歌にも聞こえるし、死別の歌にも聞こえる。夏に聴くにはせつなすぎる歌だ。でも花火のような一瞬の刹那であっても、美し輝く時ががあるからこそ人は希望をもって生きられるし、恋をするのだろう。そんな理想を求め続ける人間の前向きさも『HANABI』に内包されている気がする。
 こんな思いを抱きながら、ライブ定番の『もう一回』の大合唱で僕は誰よりも大きな声を張り上げた。そして喉はつぶれた。

 

14.1999年、夏、沖縄
 四の五の言わずにMCを抜粋(記憶の限り。脳内変換有御免!)。
「これまではシングルを中心にお届けしてきたけど、この歌はひょっとしたらはじめて聴く人もいるかもしれない」
「僕たちと同世代の人は知ってると思うけど、1999年に世界が滅びるという”ノストラダムス”の大予言があって、僕らはずっと音楽をやってそれで死ねたらラッキーだと思っていた」
「でも1999年になっても、2000年になっても2001年になっても正解は滅亡してなくて、2002年、僕らはデビュー10周年を迎えた」
「10周年の時も今と同じように大きな会場でコンサートをして、多くの人から『おめでとう』と祝福されたが、当時の僕たちは素直じゃなくてひねくれたから、10周年て言ったってレコード会社や事務所が騒いでいるだけで、インタビューでも僕らは『一日一日を大切にする』なんて答えてた」
「僕たちの音楽を聴いている人たちだって、そのうちすぐどこかへ行ってしまうんだろうと思ってた。でも、今でもこんなにたくさんの方がお僕らの音楽を聴いてくれて、ライブ会場に足を運んでくれて本当に嬉しい」
「僕らと同年代のミュージシャンたちが病気になったり亡くなったりする。僕たちもいつまでできるかわからないけど、できる限り音楽を続けたい」
 そう言って桜井さんは深々と、本当に深々と頭を下げられた。
-時の流れは速く、もう25周年なのだけど-とちょっとアレンジされた歌詞を聴きながら、僕はこ心の中で「おめでとう」とつぶやいた。

 

15.足音 ~Be Strong
 上のMCから『足音』って、そりゃないよ。泣けって言ってるようなもんだ。
「また一歩、次の一歩」って彼らは、まだまだ足音を踏み鳴らし続けてくれるつもりだ。目の前でこんなにスゴイものを見せつけているというのに。

 

ここでライブが終わっても違和感のない充実っぷりだが、まだまだライブは続く。

(後編へ)

 

この記事から臆病風のブログは始まります。どうぞよろしくお願いします。