エソラことだま。 -臆病風のブログ-

どうせMr.childrenを書いてしまうんだ

海にて、心は裸になりたがる  ~Mr.Children『重力と呼吸』全曲レビュー②~

『重力と呼吸』、2ndトラックは

「海にて、心は裸になりたがる」

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アルバムの全貌が明かされたとき、臆病風(管理人) が一番気になったのはこのタイトルだった。意味わかんねーっす、 って。


なんとなく、しっとりとした『つよがり』 風のバラードなのかなと想像していたが、意外や意外、『 FIGHT CLUB』を髣髴とさせる失踪感たっぷりのサウンドが心地良い曲だ。

 

 

ぼんやりただぼんやりと

海へと向かい心は走る

昨日あった嫌なことを

洗い流してきたい

何があったのだろうか。

海へ行きたくなるほど嫌なことがあったらしい。

 

重箱の隅をつつく人

その揚げ足をとろうとしてる人

画面の表層に軽く触れて

似たような毒を吐く

 

ネットで誹謗中傷を垂れ流すことだろう。

スマホの画面をタッチするだけで次から次へと吐かれる毒。


そこに愛情があるわけでもなく、独創性があるわけでもない。

そんなツマンナイことをついつい自分も…

それが嫌で嫌で許せない僕は、海を訪れた。

 

沈みかけたオレンジ色の太陽を背にして

僕の影が砂浜で踊ってる

沈みかけの太陽を背にしているということは、人は東向きだ。

そして影が砂浜に伸びているということは、 海岸は東側にあるんだ!

んなことどうでもいいけど・・・

”砂浜で踊ってる” というのは「自分の影が波に映って揺れている」のを描写した桜井さんらしい表現。

またここは踊っているのが「僕」でなく「僕の影」なのが重要で、 つまり表には出せないけど、本音では心踊っている( たぶん怒っている)心境を歌っているのだと思う。

 

全部把握したつもりでいても

実は何も分かっていやしないよ

今心は裸になりたがっているよ

消極的なあなたにも

上から目線のあなたにも

ほら世界は確かに繋がっているよ

心が裸になりたがる、イコール本音をさらけ出したい。

前述のBメロで触れた「僕の影が踊ってる」状態から僕自身が踊れ るようになりたい!

コレこそがこの曲のテーマ。

自分のことなど誰もわかっちゃいない。

消極的でも上から目線でも構わないから海を見てごらん。世界はつながっているだろ?

 

生臭い海の匂いは

ロマンチックとは程遠いけど

デスクにいるより居心地が

良くてハイになる

海に来てよかったー!ってこと。

 

冷静に自分を客観的にみる回路を外して

君の影も今僕と踊ってる

冷静で客観的な視点を持ついつもの僕。

その回路を外し、本能をさらけ出した僕。

ここで二つの「僕」が登場する。


この「自分ともうひとりの僕が葛藤する」表現はミスチルのいろんな曲で使われていて、 その巧みさにいつも唸らされる。

 

そしてどっちの僕も同じようにさらけ出したいんだ!と叫ぶ僕。

 

対照的と思っていても

実はあちこちが似ているよ

今心は裸になりたがっているよ

本音と建前、対照的だと思っていたけど、 実は結構似ているということを僕はここで知る。

 

わがまま過ぎるあなたにも

自惚れが強いあなたにも

きっと世界はあなたに会いたがっているよ

嫌なやつだと考えていても

実はちょっぴり気になっているよ

今心は裸になりたがっているよ

 

わがままで自惚れ屋だってそれが本音ならいいじゃないか。

「あいつ嫌だな」なんて思ってても、実は気になってるんだろ? それでいい。

 

可愛げのないあなたにも

注目されたいあなたにも

きっと世界はあなたに会いたがっているよ

今心は裸になりたがっているよ

自分が嫌で嫌でしょうがなくなるときがあるけど、


海は僕に「本当の自分をさらけ出せばいいさ」と答えてくれた。

世界が会いたい「あなた」とは、つまり本音の「僕」のこと。

世界のどこかで誰かがきっと本当の自分を受け入れてくれるよ。

 


この曲はアップテンポなメロディの中に、 優しいメッセージが込められている、そんな歌詞だ。

 

<エソラことば>

海を訪れるとその壮大さに、 自分の悩みなんて本当にちっぽけに感じる。

そして否応なく世界を意識してしまう。

確かに世界は、海でつながっている・・・